ピアノ連弾による、温かい音楽療法

いつも演奏して下さっているピアノの森下さん、この日はなんと娘さんとの連弾で臨んでくれました。

①主よ、人の望みの喜びよ      J.S.バッハ
②花                滝 廉太郎
③白鳥 「動物の謝肉祭」より    サン・サーンス
④ヴェニスのゴンドラの歌      メンデルスゾーン
⑤ホフマンの舟歌          オッフェンバック
⑥子守歌、スペインの踊り
  組曲「ドリー」より       フォーレ
⑦学園天国             小泉今日子

*主よ、人の望みの喜びよ
まずは、娘さんのソロ演奏から幕開け。
この日は春休みということで、連弾が実現しました。ちなみに高校3年生、受験生2日目とのこと。ボランティア活動にも力を入れているそうです。
「母と娘」という関係性を、精神科のプログラムに持ち込むことの是非は、検討されるべきことかもしれません。森下さんにも、そのあたりのことをご配慮いただいたのですが、むしろ参加者の健康的な側面が引き出せるだろうと判断し、そのまま紹介しました。

*花
続いておなじみの曲を連弾。歌詞はあえて示さず、メロディと情景を味わってもらいました。
       
*白鳥 「動物の謝肉祭」より
*ヴェニスのゴンドラの歌 
こちらも連弾で。メロディが際立つ、有名な曲です。
話題として、高校生時代にやっていたこと、ピアノを習うということ、親に何か教わるということ、など交えながら進めていきました。
森下さんはピアノの先生ですが、娘さんは他の先生に習いに行っているとのこと。やはり親に習うということは難しいようです。でも今日のような演奏会に向けての練習は、家族なだけにたっぷり時間をかけられていい、とのことです。

患者さんの中にも、子育ての経験がある方はいらっしゃいます。本日の演奏ややり取りの中に、自身の経験を思い起こしている様子が見られました。総じて、温かい雰囲気が生じていたことが印象的でした。

*ホフマンの舟歌          
*子守歌、スペインの踊り(組曲「ドリー」より)
ソロ演奏を経て、本日のメイン連弾曲に突入。

プログラム前の合わせの段階から、かなりの難曲であることが伺えました。
参考動画の2:55くらいから、「スペインの踊り」が始まります。
さすが親子、息はピッタリで、ダイナミックな演奏でした。
         
*学園天国             
最後は歌ものです。現役の高校生が、前面に出て歌ってくれました。私もカホーン&歌でサポート。掛け合いの部分を盛り上げました。

終わりに、受験生ということもあり、将来の夢を聞いてみました。
「音楽を役立てられるような仕事に就きたい」
温かい拍手の中、ピアノ連弾の演奏会は終了しました。

プログラム後に、振り返りをしました。
若者にも音楽療法のことを知ってもらいたいと思い、少し解説しました、

最近の私の音楽療法のポイントは、以下の4点です。

①音楽に価値を置いている人が、入院や病気を抱える事により、音楽を充分に楽しめないことに対して、その補填をする。
②患者さんに合わせた「優しい音楽」を提供することにより、いたわりや慰め、励ましなどを行う。これにより患者さんの心は癒され、回復に向かう。
③音楽を通じた、自然なコミュニケーションを促進する。そのための雰囲気づくりとしての、トークや演奏を工夫する。
④毎回の音楽が「経験」の蓄積となり、より豊かな音楽体験を生み出すよう、選曲や演奏を工夫する。

というようなことを、高校生にも伝わるよう、話したつもりです。②に関しては、演奏前にも確認しておきました。音楽療法で取り上げられる音楽は、聞く人に充分に配慮された音楽であることが前提だと思います。

スタッフの評判も良く、みんなにとって思い出に残る音楽療法になりました。

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